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真剣の手入れ

真剣というものは常に油が塗ってある。
鉄製の刀は水分や酸素と反応して簡単に錆びてしまうので、表面を油膜で覆って保護しているわけだ。
なので日常の手入れといえば、基本的にはその油を古いものから新しいものへと引き換えてやることを指す。
普段は稽古で使うたびに刀身に油を引いてやるだけでいいんだけど、時々は内部までしっかり手入れしてやる必要がある。

まずは目釘(めくぎ)を抜いて刀を分解する。
日本刀の各部品って、実は太さ数ミリのちっちゃな竹の棒一本で固定されてる。

真剣の手入れ①


バラバラになった。
左上から順に鞘、刀身、鎺(はばき)、切羽(せっぱ)、鍔(つば)、切羽、目釘、柄(つか)。

真剣の手入れ②


まずは普段は柄の中に隠れている茎(なかご)の部分のお手入れ。
ティッシュで古い油や汚れを拭き取り、新しい油を染み込ませた脱脂綿を引いてやる。

真剣の手入れ③


柄を元通り組み立ててから、刀身部分も同様に油を引き換える。
あっという間だけどこれで完了。
湿気の多い季節は怖いから、マメにお手入れしなくっちゃ。

真剣の手入れ④


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木刀の重さを量ってみた

木刀の重さを量ってみた

普段稽古で用いている木刀、重量はどんなものなのだろうか?
メーカーの記載では個体差アリで約500~600gということだが、試しに家にある木刀を計測してみることにした。
使用したのは台所用の量りと、会員向けの在庫として保管している未使用の白樫木刀からランダムに選んだ十本。
量ってみた結果を軽いのから順番に並べたのがこちら。

①560g ②565g ③570g ④570g ⑤585g ⑥590g ⑦595g ⑧600g ⑨610g ⑩650g

記載値を下回るものは一本もなく、むしろ良材不足が叫ばれる昨今にそれを超える個体がある方が意外だった。
最軽量と最重量の差90gというのは手にしてみるとはっきり解るが、この程度なら稽古の質には何ら影響しない範囲内である。
できることなら身の詰まった堅固な一本をという欲が出るが、大切なのは技量を身に付けることであるというのを思えば、充分満足のいく数値であった。


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刀掛を作ろう!

刀掛を作ろう!

古武道の先生をやってると、とにかく家に木の棒が増える。
各種の木刀に加え、128cmの棒と180cmの棒と210cmの棒が揃ってるんだから正気の沙汰ではない。
最近ではそこに十手やヌンチャクやトンファーまで仲間入りして部屋が大変なことになっていたので、簡単な刀掛を設置して整理することにした。

色々探してみた結果、強力な突っ張り棒を立てて金属製のワイヤーネットを掛け、そこにフックで吊り下げていくやり方を採用した。
床に転がしておくよりスッキリするし、木製武具の湿気対策にも良さそうである。
とはいえ長短種々の模造刀や会員用の在庫なんかも含めると、まだこの二倍くらいの量が押し入れに入ってるんだけどね。


ちなみにお世話になったサイトはこちら、和気産業のe-classy
メーカー直販で、質問にも丁寧に答えてくれるのでオススメ。


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十手を作ろう!

嘘。
全然自分で作ってない。

市販品のポリプロピレン製の釵(サイ)を改造するだけ。
琉球武術の皆さん、ごめんなさい。

十手を作ろう!①


鋸で突起部分(翼と呼ぶらしい)を一本切り落とし、紙ヤスリで軽く整える。

十手を作ろう!②


このままだと木刀を相手にするには鉤が開きすぎている気がしたので、ドライヤーで加熱しながら力ずくでひん曲げてみる。
気長に時間をかけると結構いける。

十手を作ろう!③


完成!

十手を作ろう!④


十年以上前に師匠のところでほんのちょっとだけ齧ったことがあるのだが、さてどのように扱うものだったか…
色々試しながら術理を見つけていくことにしよう。


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鞘の補修

鞘の補修①

居合稽古で用いる模擬刀の鞘は、使っているうちに金属製の刀身に削られていき最悪割れてしまうことがある。
常に鞘を傷めない綺麗な稽古が出来ればそれが一番いいのだけれど、初心の頃から使っている道具ではなかなかそうもいかない。
亀裂の入った鞘を、これ以上広がる前に補修してやることにしよう。
籐を巻くのが王道のようだが、面倒くさいし仕上がりをあまり太くしたくないので、今回は簡単にいくことにする。


まずは鯉口周りの塗装を落として、亀裂と凹みを木屑とボンドを混ぜた即席パテで埋めてやる。
乾燥してから紙ヤスリを掛けると、この時点でしっかり硬化してツルツルになった。

鞘の補修②


削れてしまった内側もボンドで補強しておく。

鞘の補修③


黒のアクリル絵の具で塗装して、クリアスプレーを吹き付けて、ヤスリ掛けして、またスプレーして、繰り返すこと数週間…

鞘の補修④

鞘の補修⑤


完成!
質感に違いは出たが、握った太さには違和感なく仕上がった。

鞘の補修⑥

ただし、一度亀裂が入ったものを無理矢理固めているだけなので、以前よりも強度が落ちているのは否めない。
万全を期するなら籐巻き等でしっかり固めた方がいい。
遣い手の今後の力量を信頼した上で最低限に留めた補修である。


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真剣買っちゃった!

真剣買っちゃった!①

真剣買っちゃった!②

古武道の先生なら持ってた方がいいよなあ、とはかねてより思っていたけれど、この度ついに真剣を購入した。
刃長、二尺四寸六分三厘強。
2017年製の現代刀。
しばらくは大事にしまっておきたい気持ちもあるが、使ってなんぼの武用刀だ。
これまで模擬刀で行なっていた稽古を真剣に持ち替えた時何が得られるのか、僕自身もまだ解らないが楽しみだ。
会員たちにも良い機会になろう。


さてさて、困ったのは会計上の処理だ。
それなりに高額の買物だから消耗品ではなく資産として計上することになるが…どの分類で減価償却すればいいんだ?
調べてみても美術品として購入する事例は出てきても、武術家が実用する場合が分からない。
都税理士会に訊いてみたが『これは初めてのケースですね…』と困惑されてしまい、勧められて国税局にまで電話する羽目になった。
そちらでしばらく検討してもらって、折り返しの電話でやっと解った結果がこちら。

器具及び備品-11 前掲のもの以外のもの-その他のもの-主として金属製のもの …耐用年数10年、残存価額¥1で減価償却

だそうです。
同業でお困りの方、もしこのブログに辿り着いたらご参照ください。


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中刀を作ろう!

最近入会した8歳の最年少会員、身長はまだ130cm弱というところ。
抜身での剣術はともかく、さすがに居合は大人と同じ尺ではまともな稽古にならないようなので、古くなった木刀で少し短めの中刀を作ってやることにした。
基本的には以前小太刀を作ったときと同じなのだけれど、今回は長さを詰めてもまだ傷んだ部分がだいぶ残るので、あえて大きく研ぎ減りさせて身幅を狭くしてやる必要がある。


先端を15cm程切り落とす。
一般に中刀の名前で市販されてる木刀より、さらに5cmくらい短くなる予定。

中刀を作ろう①


小刀と紙ヤスリで先端部分を成形していき、

中刀を作ろう②


完成!

中刀を作ろう③


刃長にして二尺に少し満たないくらいかな。
しばらくはこれで稽古して、背が伸びたら返してもらおう。


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黒い木刀

黒い木刀

いつも剣術の稽古で先生が使ってる木刀みたいな黒いアレ、何だ?
って思ってる会員がいるかもしれないので書いておこう。
木材ではなく、ポリプロピレン樹脂でできた稽古刀である。

木製武具と違って打ち合ってもささくれたりせず、適度な弾性があるので相手の木刀も傷めにくいという特徴がある。
過去に二本、同種の武器が稽古中に折れるのを目撃しているので絶対に壊れないというわけではないのだが、木刀よりも耐久性が高いのは確かだ。
使い心地においてもさほどの差異は感じない、というかそれを言ったら真剣と木刀の違いの方がよほど大きい。
伝統的な武道の習わしにはそぐわない得物かもしれないが、他の会員に打ち込む機会が多い指導員の装備として大いに重宝している。


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国産木刀の現状


星道ブログ 国産木刀製造の危機


引用したのは国産武道具を扱う販売業者のブログである。
後継者不足や木材資源の枯渇による、木製武具生産の窮状が詳述されている。
古武道でも多く使用する木刀や杖の国内生産が、今後ますます厳しくなっていく、という話である。

いち武道修行者としてできるのは、今ある道具を大切に遣うこと。
腕ずくで振り回さずしっかり身体を乗せて威力を出せれば、速さ、重さの割に剣は傷まない。
丁寧に技術を求める稽古をすることが、道具を長持ちさせることに繋がる。

とりあえず僕の手元には十分な在庫が確保されているので、当面はこれまで通り会員に木刀類を提供することはできる。
しかしその先は、価格の改定や材の変更、あるいは非木材製品の導入まで考える必要が出てくるかもしれない。
いずれにせよ、稽古の質を落とさぬよう、かつ会員の財布に過大な出費を強いぬよう良策を考えていくつもりなので、どうぞよろしく。


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刀の長さ

刀の長さ
(上から木刀/二尺四寸五分/二尺五寸/二尺七寸/二尺八寸)

通常、居合の稽古においては真剣の代用として合金製の模擬刀を用いるが、その重要な要素の一つに刀の長さ、がある。
抜ければ良いのであれば当然短い方が容易く、長い刀を扱おうと思ったら相応の技量が必要になる。
ほんの一寸、3cm程度の違いが使用者にとってはまるで別物となり得る。

萬葉塾では、常用する模擬刀は刃長二尺四寸五分(約74.2cm)を基準とし、あるいはそれ以上の長さのものから選んでもらっている。
おそらくこれは、一般に多くの居合道場が定めるものよりもだいぶ長い。

もちろん、長い刀には長い刀の、短い刀には短い刀ならではの学びがある。
それでもこの長さを基準としているのは、現に小柄でもこれ以上の長さを無理なく使いこなせる会員がいること、そしてそもそも剣術稽古に用いる木刀がこの長さで作られているからだ。
短軀を理由に短い模擬刀を使ってしまったら、じゃあその木刀どうやって抜いたことになってるんだよ、となる。

あ、剣術用の木刀もちょん切って、短くして使うんならOKだね。
それなら筋は通る。


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プロフィール

ピンクさむらい

Author:ピンクさむらい
東京都武蔵野市にて、古武道萬葉塾を主宰。

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