
数年前、法要で妻の田舎を初めて訪れる機会があった。
聞けば江戸末期の古民家をリフォームして暮らしており、ぶっとい梁は150年以上前のものそのままだそうな。
お宝でも眠ってたりはしないかとわくわくしながら行ってみると期待通り、親戚の一人が
『そういえば蔵から出てきた爺ちゃんの刀があったはずだ』
と言う。
ものすごいわっくわくしながら待っていると、まずは鹿の角でできた立派な刀掛台が、続いて大小一組の日本刀が現れた。
ほ、欲しい。
でも血縁でもない僕がずうずうしいだろうか。
そもそもこの刀、ちゃんと登録はされているのか。
どこだっけ、未登録の刀剣は警察に持ってくんだっけ。
でも審査に通らなくて裁断されちゃうこともあるって聞いたことあるぞ。
ならいっそこっそりと、でも違法刀剣はまずいか…
激しく思考を巡らせながら鞘を払うと現れたのは、
ただの模造刀であった。
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