
そもそも古武道とは……『明治維新以前の日本において発祥した各種武術の総称』、という定義になるだろうか。
それ以降に隆盛した現代武道、例えば柔道や剣道なんかと区別するために後世になって作られた、いわゆるレトロニムと言われる語だ。
エレキギターが誕生して、それまでただ『ギター』と呼ばれていた楽器が『アコースティックギター』になったのと同じである。
江戸時代のお侍さんが自分たちのやってることを『古』武道だと思っていたか?
そんなはずはない、彼らにとってはそれが現在進行形だったのだ。
しかもそこには、武芸十八般とも言われる様々な技芸が含まれる。
剣術、居合術、杖術、柔術、弓術、十手に薙刀、馬術に砲術、さらには水泳術なんかも入ったりする。
さらにそのそれぞれに千差万別の流派が存在し、〇〇流、△△流、その一つ一つがまるで違ったことを伝えているのだ。
そう考えると、古武道とはこういうもの、という共通する前提なんか存在しないことが解ってくる。
だから僕は、自分たちにとっての古武道はもっと個人的なものでいいと思っている。
伝統ある流儀を次代に受け継いでいく立場の方々にはまた別のご苦労があるのだろうが、そうした責務も古式の復刻といったことへの関心もない以上、僕は理に適った心身の遣い方を探究するために、便宜上古武道と呼ばれているそれを選んだに過ぎない。
古流の型を用いて稽古し、しかしながらその稽古法も先人とは大きく異なっている部分が多いであろうことを承知の上で、そこから読み解かれ自身の裡に染みついていくもののみに価値を置く。
曖昧な古武道の枠すら明らかに逸脱することもしばしばあるが、それが根源の理に近づく助けになるならそれもまた良し。
萬葉塾において『古武道』という概念の持つ意味合いはそんなところである。
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