僕が古武道を始めるより前、大学を出て老人ホームに勤めていた頃のお話。
入居者は全員が認知症だったのだが、中でもとりわけ重度におボケになられたじいさまがいた。
会話はほとんど不可能なくらいだが、食欲はがっつり残っており、他人の食事に素手を突っ込んで食べちゃったりする。
ある日の食事時、やはりじいさまが隣の皿から強奪し始めたので、僕が両手首を摑んで止めたのだが。
止まらないのだ。
すごい出力だ。
あうーとか言いながら、何事もなかったかのように摑まれたままに手を動かして食べ続ける。
そもそもどうやら摑まれていることにすら気づいていない。
普通なら起こるはずの力みやら生理反射、そういうものがまったくないのだ。
完璧なまでの平常心で、淀みなく身体が動いていく。
達人を見た。
古武道萬葉塾HP
入居者は全員が認知症だったのだが、中でもとりわけ重度におボケになられたじいさまがいた。
会話はほとんど不可能なくらいだが、食欲はがっつり残っており、他人の食事に素手を突っ込んで食べちゃったりする。
ある日の食事時、やはりじいさまが隣の皿から強奪し始めたので、僕が両手首を摑んで止めたのだが。
止まらないのだ。
すごい出力だ。
あうーとか言いながら、何事もなかったかのように摑まれたままに手を動かして食べ続ける。
そもそもどうやら摑まれていることにすら気づいていない。
普通なら起こるはずの力みやら生理反射、そういうものがまったくないのだ。
完璧なまでの平常心で、淀みなく身体が動いていく。
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