座技
萌芽を大事にする

ちょっと気の利いた工夫を思いついて、これで自分の動きが随分と改善されるように感じることがある。
ところが対人で検証してみると、思ったほどには劇的な効果を上げるものでもない。
なあんだとがっかりして、そのことは綺麗さっぱり忘れてやり直し。
ではもったいない。
アイデアは優れていても理解が浅い、使いこなせていない、さらに応用が必要。
そういう理由ですぐには結果に繋がらないことはよくある。
最初のひらめきを信じて、しばらく掘り下げて稽古を重ねてみる。
あとは上位者、特に指導員の役割だ。
ちょっとした進化の兆し、時には本人も気づいていない美点を、たとえ微弱であっても、まだまだ通用しなくても、それを見つけて拾ってあげること。
せっかくの萌芽を潰しちゃダメ。
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肉体を虐める

筋力に頼らない武術などと嘯いてはいるものの、ただ楽に身に付くコツの寄せ集めになってはしょうがない。
特に少年部。
10月にもなってちょいと動いただけで『汗かいちゃった、冷房つけて!』と言われた時にはこれはマズイと反省した。
武道の稽古が汗もかかないものだと思われている。
というわけで、最近小学生たちには少々キツめに肉体を追い込む稽古を取り入れてみている。
時間を区切って息が上がるまでミット打ち、動的、静的両方の補強トレーニング。
空手道場や体操教室の子供たちに比べればお遊びみたいなレベルだが、技術に偏って体育的な側面をおざなりにするのも良くないと考え直した。
どんなに技術があったって、ちょいと疲れたくらいでそれが発揮できない気力、体力では役にも立たない。
好きで決めた目標に向かっての苦痛を楽しむこと。
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第38回武蔵野市民会館文化祭
合わせる

少年部の彼らにはまだ、他人と動きを合わせるというのが難しいらしい。
つい我が出て、自分の速さ、強さを示すような動きになりやすい。
僕自身も思い当たるところはある。
初心の頃にはそんな余裕はなかったし、そこそこ上達してからは何で自分より下手な奴に合わせなきゃいけないんだと思っていた(笑)
だけど、それはもちろん違う。
合わせられる、ということは相手の動きが全て観えているということだ。
自分の身体を完全に制御して等速に動くことができ、相手の急な加速や想定外の乱れにも即座に対応できるということだ。
それは時に、相手を一方的に斬り伏せるよりも難しい。
まあ、今はそんなややこしいことは解らなくてもいいんだけどね。
何でもかんでも相手に合わせて慣れ合いになっても意味がない。
新しく後輩が増えるたびに、ちょっとずつ。
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タバタの苦痛

心肺機能の強化のため、週に四回程度タバタ式トレーニングを行なっている。
鍛えている人の間では結構有名だと思うが、20秒間の全力での運動と10秒間の休憩を8セット程繰り返し、4分で燃え尽きるまで追い込むというもの。
稽古の一環として強制しているわけではないので、付き合ってくれる会員は高校生が一人だけ。
かなりきついトレーニングなのだが、そこには体調の良し悪しの影響もあり、何だか調子が出ない日は身体を重たく感じながら、いつも以上に苦しい思いをすることになる。
ところが終了直後の脈拍を計ってみると、そういう時の方が心拍数が低いのだ。
普段よりさらにしんどい苦痛に耐えた気がするのに、それほど心肺を追い込めていない。
感じる苦痛に対して割に合わないじゃないか、と不思議に思っていたのだが…よく考えると当たり前かもしれない。
心拍数が上がらないから、酸素を充分に全身に送り込めていないからこそきついのだ。
苦しい割に心臓に効いていない、じゃなくて、心臓がちゃんと回転していないから苦しいのだ。
苦痛そのものが目的ではなく、あくまで心肺に高負荷をかけて鍛えるトレーニングなのだから、充分にエンジンが働かないことによる苦痛は必ずしも適切な効果に結びつかないようだ。
そして、体調を狂わせ、運動効率を下げる元凶も分かっている。
ポテチだ。
タバタ前に普通の食事を採ってもさほど影響はないのだが…油のせいなのか?
ポテトチップスは数時間前に食べても顕著に身体が重くなる。
素材の味を活かした、湖池屋のじゃがいも心地でも駄目だった。
おいしいんだけどな、アレ。
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武術と運動神経

今でこそ古武道の先生として偉そうに身体の遣い方を教えているが、実は子供の頃から運動は大の苦手だった。
逆上がりも後転もできないまま義務教育を修了し、ボールを投げれば5m離れた相手にストライクが入らない。
手元に残っているスポーツテストの結果表によると、握力は中3で20kgしかなかった。
長距離走だけはそこそこ速かったが、それ以外は何をやってもずっと最下位レベルであったと思う。
そういうわけで、今の僕がやっていることは素の身体能力ではなく、全て意識的に積み重ねた技術によるものだ。
如何に立つか、如何に歩むか、如何に上げ、如何に下ろすか、逐一理屈を考え抜いて感覚を作り込んだ。
そもそも武術というのは自分より優れた相手を想定したところから始まるのだから、心身の遣い方を根本から作り変えていく過程は誰にとっても等しく険しい。
生来の運動神経に自信がない人も、どうぞ遠慮なく門戸を叩いてほしい。
萬葉塾会員の中には日体大の卒業生もいる。
地の運動能力で言えば僕なんぞが身体の動かし方を教えられるはずがないのだが…
術とは不思議なものである。
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さかいマルシェに出演しました
先週日曜日、武蔵境駅前の境南ふれあい広場で開催された第69回さかいマルシェにて演武を行ないました。
いくらかの失敗はありましたが、普段僕らの稽古している武術がどんなものか、雰囲気を伝えることはできたと思います。
関係者の皆さん、ありがとうございました。
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木刀の重さを量ってみた

普段稽古で用いている木刀、重量はどんなものなのだろうか?
メーカーの記載では個体差アリで約500~600gということだが、試しに家にある木刀を計測してみることにした。
使用したのは台所用の量りと、会員向けの在庫として保管している未使用の白樫木刀からランダムに選んだ十本。
量ってみた結果を軽いのから順番に並べたのがこちら。
①560g ②565g ③570g ④570g ⑤585g ⑥590g ⑦595g ⑧600g ⑨610g ⑩650g
記載値を下回るものは一本もなく、むしろ良材不足が叫ばれる昨今にそれを超える個体がある方が意外だった。
最軽量と最重量の差90gというのは手にしてみるとはっきり解るが、この程度なら稽古の質には何ら影響しない範囲内である。
できることなら身の詰まった堅固な一本をという欲が出るが、大切なのは技量を身に付けることであるというのを思えば、充分満足のいく数値であった。
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刀掛を作ろう!

古武道の先生をやってると、とにかく家に木の棒が増える。
各種の木刀に加え、128cmの棒と180cmの棒と210cmの棒が揃ってるんだから正気の沙汰ではない。
最近ではそこに十手やヌンチャクやトンファーまで仲間入りして部屋が大変なことになっていたので、簡単な刀掛を設置して整理することにした。
色々探してみた結果、強力な突っ張り棒を立てて金属製のワイヤーネットを掛け、そこにフックで吊り下げていくやり方を採用した。
床に転がしておくよりスッキリするし、木製武具の湿気対策にも良さそうである。
とはいえ長短種々の模造刀や会員用の在庫なんかも含めると、まだこの二倍くらいの量が押し入れに入ってるんだけどね。
ちなみにお世話になったサイトはこちら、和気産業のe-classy。
メーカー直販で、質問にも丁寧に答えてくれるのでオススメ。
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